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1. アレルギー性鼻炎(通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎)
2. 症状の程度
3. 花粉の飛散時期
4. アレルギー性鼻炎(花粉症)の起きるわけ
5. 検査
6. 治療
7. 治療の選択
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アレルギー性鼻炎は、次のように大きく二つに分かれます。一つは、ほこり、ダニに反応する通年性アレルギー鼻炎で、もう一つは、スギ花粉症に代表される季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)です。もちろん、通年性であっても、花粉飛散期に症状がさらに悪くなるケースもあります。花粉もスギばかりでなく、4月〜5月のヒノキ、初夏のイネ科、秋のブタクサなど、多種多様にあり、花粉だけで一年中症状が出る方もいらっしゃいます。日本では、2000万から3000万人がアレルギー性鼻炎といわれています。
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アレルギー性鼻炎の症状は、「くしゃみ鼻水型」と「鼻づまり型」、その「混合型」の3タイプにわかれます。程度は下の表のように分類されます。程度によって治療も変わってきます。
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− |
+ |
++ |
+++ |
++++ |
くしゃみ
(一日の平均発作回数) |
0回 |
1〜5回 |
6〜10回 |
11〜20回 |
21回以上 |
鼻水
(一日の平均発作回数) |
0回 |
1〜5回 |
6〜10回 |
11〜20回 |
21回以上 |
鼻づまり |
なし |
口呼吸は全くなし |
鼻閉が強く、口呼吸が一日のうち時々あり |
鼻閉が非常に強く、口呼吸が一日のうちかなりの時間あり |
一日中完全につまっている |
日常生活の支障度* |
軽症未満 |
あまり差し支えない |
+と+++の間 |
手につかないほど苦しい |
全くできない |
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*日常生活の支障度:仕事、勉学、家事、睡眠外出などへの支障
「2005年度版鼻アレルギー診療ガイドライン」より
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最重症;鼻づまり、くしゃみ・鼻水のいずれかあるいは両方が++++以上
重症 ;鼻づまり、くしゃみ・鼻水のいずれかあるいは両方が+++以上
中等症;鼻づまり、くしゃみ・鼻水のいずれかあるいは両方が++以上
軽症 ;鼻づまり、くしゃみ・鼻水のいずれかあるいは両方が+ |
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スギの花粉が代表的ですが、それ以外にもイネ科やブタクサといった植物の花粉など、季節によっていろいろな花粉が飛んでいます。
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1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
ハンノキ |
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スギ |
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ヒノキ |
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イネ科 |
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ブタクサ |
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ヨモギ |
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セイタカアワダチソウ |
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●抗原(花粉)が体に入ると? |
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細菌やウィルスなどの異物(抗原といいます)が体の中に侵入した場合の備えが「免疫」で、文字通り「病気を免れる」システムです。本来、花粉は無害なものですが(免疫寛容)、異物・敵とみなして免疫系が過剰に反応する状態(アレルギー反応)が、花粉症です。こうした感作が成立するには、数年から数十年の時間がかかります。
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●くしゃみ、鼻水、鼻づまりも立派な防御 |
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これらはとても不快な症状ですが、くしゃみは異物を吹き飛ばしますし、鼻水は異物を洗い流します。鼻づまりも、鼻がつまれば異物が入りこみにくくなる点では理にかなった反応なのです。これらの症状は、マスト細胞や好酸球・好塩基球から放出される化学伝達物質によって起こります。 |
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語句等の詳しい説明「もっと知りたいアレルギー」はこちら |
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アレルギー性鼻炎の症状は、「くしゃみ」、「鼻水」、「鼻づまり」で、カゼと同じです。これらの症状がアレルギーによるものかどうか、次のような検査をします。
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@問診 |
・
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アレルギーの原因を探すために、症状の出る季節、程度を尋ねます。
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A鼻鏡検査 |
・ |
鼻の入り口を開けて、鼻の粘膜などを観察します。通年性で重症の方は白く腫(は)れています。花粉症の方は、赤く腫れていることが多いです。鼻内のポリープや鼻の真ん中のしきり(鼻中隔)が曲がっていないか(鼻中隔彎曲症)等を調べます。
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B鼻汁好酸球検査 |
・ |
綿棒で鼻内の鼻汁を採取します。アレルギー性鼻炎では、鼻汁中に好酸球(白血球の中の一つ。酸性の染色液に染まりやすい性質のためこの名前がつきました。)が確認されると、アレルギー反応による炎症の証拠となります。
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C鼻のレントゲン検査 |
・ |
アレルギー性鼻炎の方は、副鼻腔にも炎症があることがあり、レントゲンを撮って、副鼻腔の状態を確認します。副鼻腔炎(蓄膿)がある場合は、あわせて治療していくことになります。
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D血清抗体検査(RAST) |
・ |
血液を採って、どんな物質(抗原)にアレルギー反応があるか調べます。
13項目調べて保険で5000円程(3割自己負担分)で少し高い検査ですが、数年は変動しませんし、何が原因かを知ることで治療の重要な柱である抗原除去回避や、治療時期を適切に判断する大切な情報になります。
※ 花粉症では、花粉が飛ぶ2週間ほど前から治療を開始する初期療法を行うと、症状を軽くすることができます。
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@内服治療 |
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多くの種類のお薬がありますが、その中にも様々なタイプのお薬が医療用としてあります。1日1回タイプ、2回タイプ、眠気の少ないタイプ、鼻づまりに強いタイプなどがあり、その方の病状、生活スタイル等に合わせたお薬を選んでいきます。
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・抗ヒスタミン薬 |
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古いタイプ(第一世代)は、眠気や口渇の副作用が強いが(市販の風邪薬にも入っているくしゃみ、鼻づまりに効く成分です)、速効性があり。
新しいタイプ(第二世代)では、副作用が改善され、鼻づまりにも有効。効果が出るのに1〜2日。(商品名;ゼスラン、クラリチン、アレジオン、アレグラ、アレロック、ジルテック) |
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・トロンボキサンA2受容体拮抗薬 |
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マスト細胞からのトロンボキサンの作用を抑制。効果発現まで約2週間。
(商品名;バイナス) |
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・ロイコトリエン受容体拮抗薬 |
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マスト細胞からのロイコトリエンの作用を抑制。効果発現まで約2週間。
(商品名;オノン) |
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・ケミカルメディエイター遊離抑制薬 |
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マスト細胞からヒスタミンやロイコトリエン等の放出を抑制。効果発現まで数週間。 |
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・経口ステロイド薬 |
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A局所療法(点鼻・スプレー) |
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鼻の中に噴霧するお薬です。直接患部に作用するため、少量でも効果があります。内服で使用するよりも、全身への影響(副作用)を低減することができます。ただし、他の鼻疾患や、強度の粘膜腫張がある場合は、使用できないこともあります。
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B手術療法 |
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レーザーでアレルギー性鼻炎をおこす鼻粘膜を焼灼することで症状の軽減をします。内服、点鼻薬に効果が乏しい方や、特に鼻づまりタイプの方におすすめです。1〜数回(数週間あけて)のレーザー治療で効果があります。鼻の粘膜をガーゼで15分ほど麻酔した後に、レーザーで焼灼します。両側で10〜20分ほどで終わります。手術後、しばらくの間、鼻の粘膜が腫れて鼻づまりになりますので、スギ花粉症の方は、シーズンが始まる前の秋から冬に手術を受けましょう。
(1回につき保険で1万円弱(3割自己負担分)です。)
「アレルギー性鼻炎のレーザー治療」はこちら
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C免疫療法(減感作療法) |
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花粉エキスを注射することで、花粉に体を慣らしていこうとする治療です(特異的減
作療法)。最初の3ヶ月は週に1〜2回注射し、だんだん間隔をあけていきます。長期の定期的な通院が可能な方でなければできません。スギ花粉が飛んでいない時期からの治療スタートです。
※ヒスタグロビン等の血液製剤注射による体質改善(非特異的減感作療法)ではありません。
「スギ花粉症の減感作療法」はこちら
「もっと知りたい花粉症治療」はこちら
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●通年性アレルギー性鼻炎の治療 |
重症度 |
軽症 |
中等症 |
重症 |
病型 |
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くしゃみ・鼻漏型 |
鼻閉型 |
くしゃみ・鼻漏型 |
鼻閉型 |
治療 |
@第2世代
抗ヒスタミン薬
A遊離抑制薬
@、Aのいずれか一つ。 |
@第2世代
抗ヒスタミン薬
A遊離抑制薬
B鼻噴霧用
ステロイド薬 |
@抗LTs薬
A抗PGD2・
TXA2薬
B鼻噴霧用
ステロイド薬
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鼻噴霧用
ステロイド薬
+
第2世代
抗ヒスタミン薬 |
鼻噴霧用
ステロイド薬
+
抗LTs薬または
抗PGD2・TXA2薬
必要に応じて点鼻用血管収縮薬を治療開始時の5〜7日間に限って用いる。 |
@、A、Bのいずれか一つ
必要に応じて@またはAにBを併用する。 |
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鼻閉型で鼻腔形態異常を伴う症例では手術 |
特異的免疫療法 |
抗原除去・回避 |
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LTs:ロイコトリエン、PGD2:プロスタグランジンD2、TXA2:トロンボキサンA2 |
「2005年度版鼻アレルギー診療ガイドライン」より |
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●花粉症の治療 |
重症度 |
初期療法 |
軽症 |
中等症 |
重症 |
病型 |
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くしゃみ・鼻漏型 |
鼻閉型 |
くしゃみ・鼻漏型 |
鼻閉型 |
治療 |
@遊離抑制薬
A第2世代
抗ヒスタミン薬
B抗LTs薬
@、A、Bのいずれか一つ。
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@第2世代
抗ヒスタミン薬
A鼻噴霧用
ステロイド薬
@と点眼薬で治療を開始し、必要に応じてAを追加。 |
第2世代
抗ヒスタミン薬
鼻噴霧用
ステロイド薬
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抗LTs薬
+
鼻噴霧用
ステロイド薬
+
第2世代
抗ヒスタミン薬 |
鼻噴霧用
ステロイド薬
+
第2世代
抗ヒスタミン薬 |
鼻噴霧用
ステロイド薬
+
LTs拮抗薬
+
第2世代
抗ヒスタミン薬
必要に応じて点鼻用血管収縮薬を治療開始時の5〜7日間に限って用いる。鼻閉が特に強い奨励では、経口ステロイド薬4〜7日間処方で治療開始することもある。 |
点眼用抗ヒスタミン薬または遊離抑制薬 |
点眼用抗ヒスタミン薬、遊離抑制剤またはステロイド薬 |
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鼻閉型で鼻腔形態異常を伴う症例では手術 |
特異的免疫療法 |
抗原除去・回避 |
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LTs:ロイコトリエン |
「2005年度版鼻アレルギー診療ガイドライン」より |
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通年性アレルギー性鼻炎も花粉症も、症状発現後の治療方針は似ていますが、花粉症では予防的治療法(初期療法)により症状を軽くすることができます。初期療法の開始時期は、スギ花粉症では1月下旬(花粉飛散開始の約2週間前)が目安です。自分がどんな花粉にアレルギーがあるのか、その花粉はいつ頃から飛び始めるのかがわかれば、この予防的治療が可能です。
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